年齢を重ねると、「若い頃はこんなことなかったのに……」と、体の変化を感じることが増えてきます。
私も、50歳を過ぎた頃からでしょうか。
最初は肘、そのあと手首、親指の付け根…。
少しずつ関節が痛くなることが増えてきました。
整形外科で診てもらうと、
「年齢を重ねる中でよくある変化ですね。」
と言われ、特別な病気ではないことが分かり、一安心。
湿布を貼ったり、サポーターを使ったりしながら過ごしてきました。
痛む場所が少しずつ移り変わって、2年以上かけて自然と落ち着いてきています。
そんな中で、一番心配していたことがありました。
それは、
「バイオリンが弾けなくなったら困るな……。」
ということでした。
不思議なくらい、演奏には影響がありませんでした
肘が痛くても、
手首が痛くても、
親指の付け根が痛くても、
何故かバイオリンを弾くことにはほとんど支障がありませんでした。
もちろん、無理をすると日常生活では痛だるく感じることはあります。
でも演奏中だけは、
「あれ?普通に弾ける。」
どこにも痛さを感じなかったのです。
最初は、
「よかった。」
くらいにしか思っていませんでしたが、最近になって、その理由が少し分かった気がしたのです。
バイオリンは日常とは違う動きを使っていました
もしかすると、
バイオリンは、普段の生活ではほとんど使わない筋肉や関節を使っているのかもしれません。
洗濯物をわしづかみする。
洗濯ばさみをつまむ。
ドアノブを回す。
買い物袋を持つ。
重い鍋を洗う。
そんな日常の動きで使う関節や筋の動きは、バイオリンを弾く時とはまったく違うと感じます。
だから、日常生活で痛みを感じる場所があっても、演奏では違う動きをしていて、ほとんど影響が出なかったのかもしれません。
もちろん医学的なことは分かりません。
でも、自分の体を通して感じた素直な発見でした。
あの方のお話を思い出しました
そういえば以前、私より年上の方がこんなお話をしてくださいました。
「バイオリンを始めてみたけれど、体のあちこちが痛くなってしまって、続けられなかったんです。」
そのときは、「そういうこともあるんだな。」と思っていました。
でも今回、自分自身の体の変化を振り返ってみて、その理由が少し分かったような気がしました。
バイオリンは、普段の生活ではあまりしない体の使い方をする場面が多い楽器なのかもしれません。
腕や手首だけではなく、肩や指、体全体を、これまで経験したことのない方向へ動かしながら弾きます。
だから、年齢を重ねてから始める方ほど、最初は体が驚いてしまうこともあるのでしょう。
だから、無理をしないでほしいのです
そのお話を聞いてから、私はレッスンで年齢を重ねてから始められた方には、よくお伝えしています。
「無理をして練習しなくて大丈夫ですよ。」
レッスンでは、生徒さんと一緒に、
「レッスンの始めより、楽に楽器が持てるようになった。」
「前回より長く弾けた。」
そんな小さな喜びを共有しています。
そんな小さな積み重ねが、気が付くと大きな変化につながっていることを、私は何度も見てきました。
「昨日より少し楽に楽器が持てた。」
「今日はちょっと長い時間音が出せた。」
そんな小さな積み重ねが、気が付くと大きな変化につながっていることを、私は何度も見てきました。
最初は、今まで使ってこなかった筋肉や関節が、
「こんな動きするの?」
とびっくりしているだけかもしれません。
だからこそ、焦らなくて大丈夫。
少しずつ体が慣れていけば、動きも自然と変わっていきます。
頑張りすぎるよりも、長く楽しみながら続けることのほうが大切だと思っています。
おわりに
少し前に、
という記事を書きました。
そのときは、バイオリンは日常ではしない動きに少しずつ慣れていく楽器なんだ、と感じました。
そして今回は、
私自身の体の変化を通して、
「だからこそ、日常の体の使い方とは違う世界で演奏しているんだ。」
という新しい発見がありました。
年齢を重ねると、体には少しずつ変化が出てきます。
でも、その変化の中でも、新しい気づきや発見はたくさんあります。
これからも、自分の体の声を聞きながら、音を楽しんでいきたいと思います。
年齢を重ねることは、できないことが増えることではなく、新しい体との付き合い方を見つけていくことなのかもしれません。
そしてレッスンでも、一人ひとりの体やペースを大切にしながら、一緒に音を楽しむ時間をつくっていけたら嬉しいです。
心も体も
元気が一番
音は、今のあなたのままで大丈夫だと教えてくれます。
無理に変えようとしなくても、
少しずつ整いながら、本来の響きに近づいていきます。
今の自分そのままを「OK」と思えること。
力を抜いて、安心していられること。
音楽やバイオリンの時間が、
そんなきっかけになれたら嬉しいです。
心も体も元気が一番。
あなたのペースで、大丈夫です。