前回は、「音楽療法」という言葉にとらわれすぎず、
その子と一緒に過ごす時間の中で音楽をどう感じているか、というお話をしました。
今回はもう少しだけ視点を広げて、
音楽があるとき、子どもたちにどのような変化が起きているのかについてお話ししていきたいと思います。
音楽が心と体に働きかける力
音楽には、人の心や体にさまざまな影響を与える力があると言われています。
音楽療法の分野では、その効果は大きく3つに分けて考えられています。
ひとつは「生理的な効果」です。
音楽を聴くことで呼吸がゆったりしたり、体の緊張がやわらいだりすることがあります。
次に「心理的な効果」。
気持ちが明るくなったり、落ち着いたりと、感情に働きかける力です。
そして「社会的な効果」。
誰かと一緒に音楽を共有することで、自然なやりとりや関わりが生まれやすくなります。
音楽の中で起きている変化
こうした働きによって、音楽のある時間の中では、さまざまな変化が見られることがあります。
たとえば、少し緊張していた表情がやわらいでいったり、
落ち着かなかった様子が、ゆったりとした動きに変わっていったり。
音が聞こえてきた瞬間、動きを止めて耳を澄ます様子が見られたり。
音に合わせて体を動かしたり、何かを表現しようとする姿が見られることもよくあります。
また、誰かと一緒に音を感じることで、言葉だけではないコミュニケーションが自然と生まれてくることもあります。
こうした変化は、「できるようにしよう」として引き出すものというよりも、
その子がその子のペースで、自然に現れてくるもののように感じています。
「できるようにする」だけではない音楽の時間
音楽を使うと、集中しやすくなったり、気持ちが整いやすくなったりすることがあります。
その結果として、できることが増えていくこともあります。
けれど私自身は、「何かをできるようにするために音楽を使う」というよりも、
音楽があることで、その子が安心して過ごせる時間が生まれ、その中で自然と変化が起きていく、という感覚を大切にしています。
うまくやることや正しくやることよりも、
その子がその子らしく、やわらかい気持ちでいられること。
その積み重ねが、あとから振り返ったときに「できることが増えていた」と感じられる形につながっていくのではないかと思っています。
次回予告
次回は、実際にバイオリンを通して子どもたちと関わる中で見えてきた、
小さなやりとりや変化について、もう少し具体的にお話ししていきます。
よろしければ、続けてご覧ください。