前回は、発達が気になるお子さんに音楽をおすすめしたい理由についてお話ししました。
では実際には、どんな音楽を選べばいいのでしょうか。
「クラシックじゃないとダメ?」
「好きな曲でもいいの?」
そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、私自身のちょっとした失敗談も交えながら、お子さんに合った音の見つけ方についてお話ししたいと思います。
元気が出る音楽が、いつも良いとは限りません
以前、緊張している我が子を学校へ送っていく車の中で、「少しでも元気になってほしい」と思い、テンポの速い明るい曲を流したことがありました。
一緒に歌ったり笑顔が見られたりして、「よかった!」と思ったのですが、それはほんの一瞬でした。
気持ちが盛り上がりすぎてしまい、学校へ着く頃には、かえって疲れてしまっていたのです。
その時、「元気になる音楽が、いつでもその子に合うとは限らないんだな」と気づきました。
まずは、その子の気持ちに寄り添う音から
例えば、寒い日にお風呂へ入る時、いきなり熱いお湯に入ることは少ないですよね。
まずは少しぬるめのお湯で体を慣らし、少しずつ心地よい温度にしていくことが多いのではないでしょうか。
音楽も、それと少し似ています。
緊張している時に、いきなり気持ちを盛り上げようとするよりも、まずは今の気持ちにそっと寄り添うような音から始めてみる。
すると、少しずつ心や体がほぐれ、自然と次の一歩へ向かいやすくなることがあります。
音楽療法では、このような考え方を「同質の原理」と呼ぶことがあります。
「好き」が、一番のヒント
「リラックスできる音楽」と聞くと、クラシック音楽を思い浮かべる方も多いかもしれません。
もちろん、それが心地よいお子さんもいます。
でも、一番大切なのは、「その子にとって心地よいかどうか」です。
好きなアニメの曲。
何度も口ずさんでいる歌。
思わず体を揺らしたくなるリズム。
そんな「好き」は、お子さんにとって安心につながる大切なヒントになります。
音楽でなくても大丈夫
実は、心を落ち着かせてくれるのは、音楽だけではありません。
雨の音。
波の音。
鳥のさえずり。
鼻歌やハミング。
手拍子や、肩をトントンとたたくリズム。
お子さんによっては、お母さんやお父さんの声に安心することもあるでしょう。
「この音を聞くと、なんだか落ち着く。」
そんな音が一つ見つかるだけでも、お子さんにとっては心強い味方になります。
おわりに
その子に合う音は、一人ひとり違います。
だから、「この音楽が正解」というものはありません。
大切なのは、お子さんの様子を見ながら、「この子にはどんな音が心地いいのかな?」と一緒に探していくことです。
もしかしたら、お気に入りの一曲が見つかるかもしれません。
もしかしたら、雨音や鼻歌の方が安心できるかもしれません。
そんなふうに、お子さんらしい「安心できる音」が少しずつ増えていったら素敵ですね。
私も、音楽を通して、一人ひとりの「その子らしさ」を大切にしながらレッスンを続けています。
この教室で大切にしていることも、よろしければご覧いただけたら嬉しいです。
心も体も
元気が一番
音は、今のあなたのままで大丈夫だと教えてくれます。
無理に変えようとしなくても、
少しずつ整いながら、本来の響きに近づいていきます。
今の自分そのままを「OK」と思えること。
力を抜いて、安心していられること。
音楽やバイオリンの時間が、
そんなきっかけになれたら嬉しいです。
心も体も元気が一番。
あなたのペースで、大丈夫です。